向日葵・夏アラモード3

向日葵

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向日葵に立ち塞がれて海見えず



向日葵やみるみる濃くなる我の影



向日葵の蜂は蕊より生まれしか



向日葵と一本道の孤独かな

その向日葵に会ったのは、もう夕方に近い時刻だった。
暑い日で、西日がまたそれに輪をかけていて、すぐ目の周りに汗が溜まり、歩いていても頻繁にそれを拭わなければ気持ちが悪かった。

向日葵は正直言って特別好きな花ではなかった。
それは、広告関係という仕事柄もあるのだと思う。
なんといっても、「元気な夏」の季節感を出すのに、向日葵の画像はいやというほど、使われる。
すると現実の向日葵ではなく、イメージが先行し、向日葵は「元気いっぱいで、明るく、楽しい、陽気で単純な花」のような先入観念ができてしまうのだ。
それであんまり、食指が動かないというか、これと言ってどうでもいい花、という距離感のようなものを持っていた。

ところが、線路脇の土手に、不意に人の如く立ち現れたその向日葵は、なんともちょっと向日葵離れしていた。
広告界でよく見る写真のような、はち切れるような生き生きした向日葵ではなく、小さめの控え目な花、背丈も私と同じくらい、茎も細め、強烈な日差しに耐えて、葉にはたくさん傷やら痛みやらがあり、言うなれば「草食系の」「傷を持った
」「やや顔色の悪い」「ちょっとやつれた向日葵なのだった。

しかしそこはさすがに向日葵。
ちょっとやつれていても、「傷を持ったまま」立ち上がって、何一つ繕おうとしない潔い迫力が、ある。

それはいわゆる「逞しさ」でもなく、「力強さ」でもない。

向日葵らしかろうがらしくなかろうが知ったこっちゃない、「私は私」ということを意識さえしていない、ただ自分のままにすっくと立って、咲いている。
少なからず疲れてはいるが、そういう自分というものから、寸分たりとも動いていない、そういう静かな迫力。

そんな無防備な美しさに、私は立ち止まり、しばし歩を進めることがためらわれた。

花というより、私は誰か人と邂逅したような気持ちだった。







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夏アラモード3


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シェルターの如く炎暑に家を出ず



夕立ちて人の繋がり立ち消える



大輪の赤いダリアに出口なし



日日草植えて何かを忘れたし



緑陰を出てまた普段の時間へと



空いた口塞がらぬ時夏の月



万緑や熟睡すれば四肢重く



寄り添いて月を隠せり夏木立



空蝉を夕焼けの色透りゆく



親の前親の後へと浴衣の子

幼い女の子たちが浴衣を着て歩いているのを見ると、私には、どう見ても金魚にしか見えないのだ。
今夜は近所の公園で盆踊りをやっているので、浴衣姿の子供を連れたファミリーがそこかしこに歩いている。

金魚といえば、だいたい赤や黒と相場は決まっているから、彼女たちが金魚に見えるというのは、色のせいではない。どうしたって、ピンクや、白地にピンクの柄物の浴衣が優勢なのだから。
すると、どっしり歩いている親の前へ後へと、先へ行ったり遅れてみたり、ゆらゆらひらひらしている、あの浮遊感が、「金魚」なる所以、ということなのだろう。
折から夕風が心地よく吹いていて、浴衣の袂は滑らかに風の中を泳いでいる。

女の子たちは、どんなに幼い子でも、きっとどこかで知っている。
いつもと違う、可愛らしい格好をさせてもらっていること。
それを自分も気に入っていて、大満足していること。

だから、足が浮き立ってしまって、小走りになったり、歌を歌いながら皆に遅れたり、気もそぞろなのである。

そんな親子連れを見ながら、ああ、女の子がいたら、楽しかったかな、と思った途端だった。

私の前を、一人の男の子と、お母さんが足早に過ぎ去った。
私の目は、その親子に釘付けになった。

男の子は、甚平の上下。
ジーンズのような色の暗めの紺地に、黄土色やカーキの蜻蛉柄で、とても男の子らしい。

そして母親の方はと見れば、同じ色柄の生地の、浴衣を着ているではないか。
小学校低学年くらいか、おそらくこういうペアルックをしてくれるのは、今年、来年くらいが限界かもしれない。

鉄紺と言われるような、色味を抑えた紺地に、黄土色やカーキの蜻蛉柄の女物の浴衣なぞ、そもそも私の発想に無かったし、男の子と母親が浴衣を揃いにするという発想も無かった。

しかし二人並んでいると、これが実に粋で格好良かった。

母親の、今風の少年っぽい、ショートとセミロングの間くらいの茶髪。男の子と揃いの、カジュアルな浴衣。
周り中の金魚や鯛のひらひらの中で、二人はダントツに目立ち、颯爽と歩いていた。

そうか、
「女の子がいれば・・・」なんて、古いなあ!

今の若い人は、ものの楽しみ方を知っている、私はそう思った。
自分の条件に負けているようでは、駄目なのだ!








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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

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