躑躅・新緑・柿若葉

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燃えうつる如咲きゆけり躑躅かな



白昼の風の透明躑躅咲く

躑躅というのは、マンションやアパートなど、シンプルで現代的な建築物にとても似合う。
白や黒のフェンスからはみ出しているのも、中央分離帯の中にも、真っ白なガードレールの下にも、とにかくモダンで単純な形の物の周辺に、ぴったりくるのである。
一体何故だろう。形だって、よく見れば日本的な雰囲気もあるのに。
やはりあの、空へと一気に抜けていくような、この上なく鮮やかな色のせいだろうか。
シンプルな形へ、鮮やかな色。

あの燃えるように情熱的なマゼンタの花を、直方体の硝子や氷に閉じ込めてみたくなるのは、私だけだろうか。


躑躅咲く夥しい願望の連続



また同じ化粧していて躑躅咲く






Alison Krauss - Losing You Windy City(2017) より
アリソン・クラウスはアメリカのシンガー、フィドル奏者。ブルーグラスを一般のポップスファンに広めた。
曲はブレンダー・リーのもの。グラミー賞受賞は28回で、歴代2位だそう。5月のように、伸びやかな声。









柿若葉空へ逃げ切ってゆく緑



柿若葉ポストに広告犇きぬ



躊躇なき色と思へり柿若葉


「青蛙おのれもペンキぬりたてか」と詠んだのは芥川 龍之介だが、私は晴れた日に近所の大きな柿の木の若葉を見て、「柿若葉おのれもペンキぬりたてか」と心の中でつぶやいた。
それほどまでにその萌黄色は、「派手」だった。自然の造形物とは思えないほどに、人工的なまでに鮮烈な黄緑だったのだ。
なんでも柿若葉にはビタミンCがたっぷりと含まれているそうで、レモンの10倍だとか。見れば見るほどそれらしい。見れば見るほど、美しい。

それにしても、と私は考える。
俳句をやっているせいもあるけれども、「柿若葉」なんてものにこれほど感激したりするのは、やはり50代になってからというもの。そしてもうすぐ、還暦がやってくる。

若い頃には、「若葉」だの「新緑」だのなんて、意識にたいして上らずに暮らしていた。
年を重ねて、いのちの大元の電池の残量が大分減ってきて、髪へも皮膚へも内蔵へも、どうも血の行きが心許なくなってくると、人はこういう、端々までいのちの行き渡っているものに、惹かれるようになるのかもしれない。
一方、生命力が有り余って、細胞のひとつひとつまでフレッシュな年頃には、人は時にさしたる理由もなく死や孤独に惹かれることがある。
それは本当の死ではなく、本当の孤独ではないかもしれない。
しかし生命が頂点にいる時、その熱さを中和させるために、生命そのものが本能的に、バランスを取っている、そんな気がしてならない。

それにしても、いいなあ、樹は。
年を重ねている樹でも、春ともなれば可憐な花をつけ、初夏ともなれば鮮やかな若葉がまた生まれる。
人間もこうだったらどんなに良いか。
街で知り合いに合う、そして挨拶するのだ。
「あーら、ご無沙汰しております、まあ、今年はまた随分と若返られて、まあ、なんて沢山の、ご立派な若葉なんでしょう!」
そして腰も痛まず、不整脈もなく、お肌つやつや、物忘れもすっかりなくなり、エネルギッシュに仕事をし・・・
なんてね。


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これはイメージ写真です。柿若葉ではありません。


新緑の中無数の翳ざわめきぬ



新緑に追い込まれてゆく社



新緑へバイク吞み込まれてゆきぬ



あれこれと充電していて緑夜かな



ベビーカー3台続く若葉風







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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。 また、当ブログ内に埋め込んでいた音楽配信動画のうち、違法にアップされたものは削除いたしましたが、公認されているものも色々ありましたので、再度少しづつ載せていきたいと思います。ジャズ・ロック・クラッシック、ジャンルは問いませんが、心に沁みるアコースティックなものをコラボ。

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ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

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