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寒昴  2017/3

 寒昴たれも誰かのただひとり     照井翠


東日本大震災から6年。
今日はテレビでも様々な特集番組が放映された。
震災で親兄弟を喪った当時の高校生が成長し、それぞれに問題を抱えながら、就職活動をし、今年社会へ旅立ってゆく。 そういうNHKの報道番組を見た。
家も息子が今年から社会人である。 あの時は、高校生だった。

面接で必ず「震災」のことを問われるので、何と言ってよいか、考えてしまう、という。
また、自分が残って生かされている、そのわけが分からない,とも。


沢山の俳人が震災を詠んだ。
私は照井翠の手記と俳句に非常に感銘を受けた。

ニュースの映像でみる夥しい瓦礫の山や、亡くなった人の耳を疑うような数、そういう外から見たものよりも、
照井翠という一人の女性の心を通過した叫びの方が、
震災の現実を遠くにいる者に、近しい形で伝えてくれた、そんな風に感じた。


しかし、俳人たちのように、自分というものと言葉が非常に近しい人ばかりではない。
心の傷や、闇が大きければ大きいほど、それは悶々とこんがらかり、容易に整理された言葉になぞ、出てきはしないだろう。


番組で取材されていた男性が、私と同じ都道府県の、大学に通っていたというナレーションに、私ははっとした。
そうだ、離れた場所で起きていることではないのだ、

また、その男性が、電車の扉付近に立っているシーンを見て、再び私ははっとした。

昨日乗った電車の同じ車両に、同じような誰かが、乗っていたかもしれない。

想像することと体験することの間には、大変な差がある。
それを思えばありきたりな励ましの言葉などとても易々とは言えない。
何ができるわけでもない。

でも、せめて忘れないでおこう。
もちろん恐ろしいような数の人達が、同じ闇を抱えているのだけれど、

彼のような人が、同じ県内に何人もいるのだろう、ということ。

彼のような人と、同じ電車の車両に乗り合わせているかもしれない、そういったことを。




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エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy)は1963年生まれのアメリカの歌手。
1992年にジャズ、フォーク、カントリー、ブルースなど様々なジャンルの音楽を融合した「The Other Side」でデビューするが、皮膚癌のために、1996年に33歳で亡くなる。
没後、カバー曲「虹の彼方に」(Over the Rainbow)がイギリスのBBCラジオで紹介され、大反響を呼んだことがきっかけとなり、広く世界に知られるようになる。


エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy) Songbird より    「Over The Rainbow」


 
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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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