7.8月 九十九里 (2001)

猫の目が闇にみどりに沈丁花



傘かしげ濡れてみる子に春の雨



海広ければ空も地もまた広し (九十九里浜にて)



2001b.jpg


九十九里浜というのは、ある意味不愛想な海である。
えんえんとあるのは波、砂浜、太陽、風、それだけで、観光地慣れした現代人が無意識のうちに探すような、ビュー・ポイントのようなものがないのだ。
取り付く島がない、とは良く言ったものだが、まさにそんな感じで、なんだ、なんか文句あるか、といった風情なのである。
しかし、この素っ気なく茫漠とした雰囲気が、やけに気になる。
この何もとっかかりのない感じ、辿ってゆく言葉や標識のない感じ、これは私たち現代人が忘れている、大事な何かという気がしてならない。

普段の生活の中で、私たちは絶えず何百という小さな判断を繰り返して生きている。
判断というものに使うのは、「意識」であり、「情報」であり、「理屈」である。
 
しかしこういう生活の中で、それ以外の「自分」は、バックボーンに回ってしまうことになる。
バックボーンに溜まってしまような、何か。

「意識」「思考」「感情」などにエネルギーのパーセンテージを使いすぎていて、総体としてのバランスが崩れてしまっているのかもしれない。

こういう自然むき出しの、とっかかりのない風景を前にすると、いつもそんな事を感じるのである。




波音は波音で消す大海原



波と遊ぶ子はみぎひだりみぎひだり



砂浜に寝れば我も大地の続き


取り合えず何もせずに砂浜にいる。
少し退屈しながら、ぼんやりと呆けている。
思い切って、敷物をどけて砂浜に寝そべる。
すると、砂の温かさがダイレクトに肌に伝わり、一挙に私は大地とひと続きのものになった、と感じる。




夕波にまたひとつパラソル減りぬ



子の頬のまだやはらかき朝顔咲く



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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

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