1月 初雪(2012)

子の背丈抜きんでていて初詣



マフラーに初雪のりてすぐ消えて



駅出れば淡雪たちまち吸い付きぬ



切符買う手の悴めば雪もよひ




20121a.jpg




横断を待つ人並みに雪斜め

この日出かけたのは、ちょっとした知り合いが亡くなり、そのお別れ会に出席するためだった。
場所は私が若い時から良く行っていた、ロック喫茶というのかな、もっと大人っぽくて落ち着くお店だけれども、最近コーヒーは止めたから、「ロックバー」かな。
昔はこういう音楽喫茶のような店が色々あったんだけど、今は本当に数少なくなった。

この年でもたまに顔を出せば、「ちゃん」づけで呼ばれる、そんなありがたいところは、もう他にはない。
ちなみにマスターはとうに還暦は越しているが、畑が大好きで自作の野菜を使った料理は美味しいし、70年代ロックの生き字引だから、何を聞きたくても大抵のものはある。
店には自分で育てた花が、大ぶりに野趣豊かに飾られていて、なかなかなんである。
亡くなったのは、そこの常連の男性だった。

始めのころこそ、皆何となくしんみりしていた。
ピアノがあるから、バンドをやっている男性も「レフト・アローン」を弾いていた。

だがそのうち、すっかりいつもの雰囲気になっていき、皆ガヤガヤわいわいと楽しそうに、酔っぱらっているのだった。
昔話に花を咲かせているのだろう。
音楽も賑やかに次々演奏されている。

ピアノの上に、亡くなった彼の写真が飾ってあった。
何となくそれを見た。
彼が言って笑ったような気がした。

「いーの、いーの。」
「皆、しょーがないんだから、もう・・」
亡くなった彼も、とてもお酒が好きだった。病気があったのに、酒も煙草もやめなかった。

最後にこの店で彼に居合わせた時、「若冲」の展覧会のパンフレットを持っていて、見せてくれた。
大好きなんだと言っていた。
江國香織の「東京タワー」を電車で読んでいたら、泣けてきて本当に困ったと言っていた。

この日は今年初めての雪が降っていた。





北風に倚れて山茶花紅濃くす



コート重し片づけること山積みに



白菊ありぬ冬の朝の先端に




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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

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