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八月アラモード

八月アラモード

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本日の1曲/Eva Cassidy - Bridge Over Troubled Water



踊りの輪抜けてだんだんひとりかな



夏の蝶一語一語が揺らめきぬ



線香花火小さな怒り繫がりぬ



炎天の神々底をついてをり



夏銀河食器触れあう音を聞く

道を歩いていて、どこかの家の台所の窓のそばを過ぎる時、ふと聞こえてくる食器の触れあう音。
どういうわけか、あの音が物凄く好きなのだ。

夕方になってもまだまだ蒸し暑い住宅街。
この異様な猛暑は何処までエスカレートするのだろうとか、
スウェーデンの山火事のこととか、

前回の仕事の思わぬ印刷結果とか、
家業の方の気を抜けない先行きとか、
それにまつわる周りの人間の中傷にどう対抗していくのか。
暑さのせいもあって、進まない自分の計画の色々。
修復することをやめてしまった人間関係。


頭の中でグルグルと攪拌されているのは、否定的な色合いを持っていることばかりだ。

モヤモヤした気持ちを抱えたままに歩いている、そんな時に、
通りがかりの台所の窓からの、夕餉の支度をしているのだろう、食器の触れあう音を耳にすると、

紐がほどけるように、どこからともなくほっとする。

炊事をしているのは、どんな人なのだろう。
やはり同じように、問題を抱えていたり、病気を抱えていたり、何にもないってことはないだろう。

それでもとにかく、今夜のご飯の支度。
まな板に包丁を当てる音。食器棚を開ける音。皿や茶碗の触れあう音。

そこでとにかく中断だ。
いろんなことが、中断だ。

とにかく、ご飯を食べなくちゃ。

それにしても、何でああいう音たちは、あんなにも優しい音なのか。

実際に、作っている方は、それどころじゃあない。
この猛暑に、鍋に湯を沸かすだけだって、汗だくだ。

夏負けの重い体をどっこいしょと、とにかく起こして、台所に、立つ。
あれを切って、これを切ってるうちに、あれを焼いて。

ああ、もう汗だくだ。
さあもうすぐ炊飯器のご飯ができる。
魚が焼けるのに合わせて、野菜の酢の物を酢にして、みそ汁を温めて、お新香を切って、
要するに、一度にやることが、多すぎるのだ!

あれはどの皿に、これはどの器に、いやもー、なんだっていいさ、この忙しさ、この暑さ!
麦茶をついで、箸を出して、ナニー、氷が出来てないって!ああ、こんな時になんだって、電話なんか!

いざ内側はどこだって、こんな風な多忙なシーンに決まってる。
それは決して、ふわふわとした夢のような仕事ではない。

それなのに、窓一枚を挟んだ外の世界から見れば

食器の触れあう柔らかな音に
骨の奥まで、癒されているものもいるのだ。


それはただ一瞬のことなのだけれど。

そう、ほんの二、三歩歩く、その間の、出来事。




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アイスクリーム消してしまいぬその記憶



8月を杭打つように歩きをり



夕闇へ背を向けている百合の花



睡蓮が目を開けたまま睡る



考えること諦めて夏の月



私からはみ出す私百日紅





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コメント

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8月

初めの4句、そうそうそんな感じもあるよねと、思いながら読みました。
百日紅の句は。もうそんな自負もなくなちゃったなぁという感慨があります。
「8月を杭打つように歩きをり」の句が面白いのですが、杭を打つように力をこめて歩かないといけないほどの暑さ、大変さということでいいのか、ちょっと不安です。

Re: No title

こんばんわ。鍵コメさんへ。

おっしゃる通りですね。
身近なところにわりと大きな問題を色々抱えてやってきましたが、

今まで私は一枚のカードのような自分しかもたずに、やってきました。
それだと、正直身が持ちません。

本当に信じられんー!と言うような人は、結構そばにいます。

ですから、自分も何枚か自分を用意しておく必要があると、思うようになりました。

色々勉強しますが‥‥。困ったもんです。v-356

Re: 8月

桃香さん、こんばんわ。

コメントありがとうございます。

最初の4句をそんな感じある、と読んでいただいて嬉しいです。
俳句が伝えるのは感覚的なものですから、どうにでも読んでいただいてそもそもいいんです。
でも、すんなり伝わると、やっぱりそれはそれで嬉しいです。

百日紅については、自分の感じは、自分は自分でこうありたいと思っていても、
モー色々と心が乱れることもあって、ざわざわします、みたいな感じです。

もうこの齢ですからね、素敵な「心乱れる」じゃないですからー!(笑)

「杭打つように」については、確かにそんな風です。
なんか、普通にスーッと歩けないー!みたいな。
歩くだけでも、杭打つような…。

でも!好きに読んでいただいて、いいんですよ。
俳句は極端に言葉の数が少ないですから、むしろそれで自然なのかもしれないし、
読んだ皆さんが自分の気持ちを投影することができて、また面白いんだと思います。

No title

今晩は
いつも楽しく拝見しております。
先日ブログに載せてみた俳句は、季語がまちがっていました。
単に蝶というと春の季語なんですね。

今日夏蝶と改めました。ほんとに俳句は難しいですね。

Re: No title

こんばんわ、ナナイロインコさん。

コメントありがとうございます。

そうですね、単なる蝶だと確かに春の季語で、夏は夏蝶になりますね。

俳句には確かに約束事も多いのですが、

例えば今回自分のブログは「八月アラモード」というタイトルですが、
八月は俳句の世界では「秋」で、秋の季語を使っていくのが正道なんです。

でも、それでなくてもこの猛暑、実感のない季語でそんなに作りたくないのです。

まあ、次回は晩夏ですか、そんな感じにゆるーく、「現在」からあまりかけ離れた作句kは
やりたくないというのが、私個人のやり方です。

でも見た方が混乱すると申し訳ないから、「夏アラモード」に直すか、迷ってたり(笑)

No title

ネコヤナギさんこんばんは🐱
夕闇へ背を向けている百合の花
この句が素敵❤と思いました。展宏さんの〈かたくりは耳のうしろを見せる花〉
に匹敵するような百合の花の句。
こういう把握はとても新しいです、百合はタカサゴユリかシンテッポウユリか、外来生物のユリは強かで、少しもはかなくはありません。目の付け所が巧妙で、たいへん触発を受けました☺

Re: No title

こんばんわ、青萄さん、コメントありがとうございます!v-352

百合の句をお気に入っていただけて、嬉しいです。
言葉的には平坦なので、あまり人の眼にとまらぬと思っておりました。

でも、「かたくりは耳のうしろを見せる花」に比べたらとてもとても…!単純な句と思います。
勿体ないお言葉ですーーー!

鉄砲百合がイメージで、すくっと、人のように立っている、
ちょっと怖いような百合、をイメージしていました。

咲いている百合のポーズ、というか、佇まいと、
凛とした花の持つイメージが、
「背を向けている」と言う言葉を生んだと思います。v-344


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Re: No title

鍵コメさんへ、こんばんわ。

コメントありがとうございます。

そうかー、男性だと、そういう風に思うんですね。なるほど。
それで、いいんじゃないですか。

私は家事が大嫌い。できればずっと、デザインの仕事や俳句の本を読んでいたい。
自動販売機で、今夜のおかずが買えたらどんなにいいかと思うけど。
それでいてあんまり手は抜きたくないから、ジレンマに。

でも結構家事に助けられるんですよ。

色々落ち込んだり、悩んだりしてる時には、
ノンストップで暴走する悪い方向行きの想像力を、

「はい、そこまでね、ご飯炊かないと」みたいな。

あの食器が触れ合う音って、そういう優しさみたいなものが、あるのかなあと。
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お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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