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沈丁花・沈丁香

沈丁花・沈丁香

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本日の1曲/Yoshiko Kishino - You Make Me Feel Brand New


沈丁香もうひとり我のいる闇



厚き雲今日は動かず沈丁花



沈丁花水面の月も移動する



沈丁花医院の裏の日陰かな



沈丁香ハンカチほどの胸騒ぎ



行き過ぎて二三歩戻る沈丁香

急いで通り過ぎてしまった沈丁花の香りの中。
勿体ないので少し戻って、も一度どっぷりと浸かる。

いきなり何か神聖な水を浴びたような気持ちになる。
沈丁花の香りは、濡れている。
雨が降っていなくても、陽が当たっていても、日蔭でも、昼でも、夜でも、沈丁花の香りというものは、濡れている。

そして深い空間を持っている。
水仙や梔子もそうなのだが、奥行きのある空間を持っているのだ。

ジャスミンや薔薇の香りは全然違う。「空間」ではなく、「体積」を持っているのだと思う。
ふわふわとつかみどころは無くとも、しっかり空気を膨張させている。
こういう花の香り達とは、ジャンルが違うのだ。

沈丁花の香りは、決まって、花から少し離れた所に、浮遊している。
だから時々、香りが見つからずにウロウロすることもある。
その日の風や気象条件によって、沈丁花の香りは色々なところに、蟠っている。

ふと思うのだけれども、人もまた、沈丁香のように、実体から少し離れたところに、その人となりの本質が漂っているのではないだろうか。

様々な現実のしがらみやら幸不幸やら身に纏わる条件達から、私達は決して逃れることができない。
いいことも悪いことも含めて、私達の根を張っている土から離れて生きていくことは不可能だ。

しなければならない仕事が大半を占めているのに、残る時間も色々な人間関係の波に流されて、あっちへぶつかったり、こっちで沈んだりして、心騒がしい時ばかり。
漱石でなくとも、「とかくこの世は住みにくい」と言いたくなることしきりである。

そんなこの世に掻き回されている部分から、すっと少々離れたところに、元々のその人らしいエッセンスのようなものが、沈丁香のように漂って浮遊しているような気がする。

人間関係に纏わる様々な心のしがらみやひずみ無しに、来し方を過ごせていたら、どんなにか充実した時間があったのではと、そんな風に考えてしまう時がある。

しかし、過ぎてきた時を巻き戻すこともできないし、自分なりに、一生懸命、本質的な自分を追いかけて来たのではないか。
デザインに打ち込んできたのも、俳句を続けているのも、そんな雨風の中で、すぐに行方不明になってしまう自分の魂のようなものを、洗い出していなければ、私というものを保つことが難しかったからだ。

願わくば、これから先の時間を、要らぬ人間関係に振り回されずに、もう一度自分の原型のようなものを、思い出し、思い起こし、生きていきたいものだと思っている。








春昼やグラビア雑誌パラパラと



草萌えて誰も彼もが語りだす



やりかけのことを付箋に春めきぬ



春霖や閉じ込められたままの過去



タンポポや地球の円さ見えねども



思ふことすぐ掻き消して春の雨



囀りのまばらにこぼれているテーブル



春愁の大きな邸の前を過ぐ







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コメント

No title

「とかくこの世は住みにくい]

わかります。
昔、コンピュータの仕事で一週間泊まり込みをしたもんです。

これから先の時間をゆっくりして下さい。
”ゆっくり”と言えませんか?時間が勿体無いです。

Re: No title

一週間泊まり込みですか!Webデザイン関係ではよく聞く話ですが、エンジニアの方もそういう世界アリなんですね。
やっぱりウチの息子は7時半に帰るれなんて恵まれてますね。そう言っておきます。

ありがとうございます。
人生の残り時間は、なるべく自分のために多く使いたいです。

俳句は難しいですね

何時も楽しみに拝見させて頂いております。

俳句を始めて、間もなく1年半になりますが、ますます俳句の難しさを感じてます。
最近になって、夏井いつきさんの出演している、プレバトをユーチューブで昔の番組から最近の物まで、観ていますが、チョット手直しして良くなってしまうのには、ただただビックリ仰天です。

私は、自分の作りたい俳句を作りたいのですが、それが読み手には伝わらないようですね。自分の作りたい俳句を詠み、それが皆さんに理解して頂くというのは技術がいるのですね。

今月の句会の句

寒平目 釣られ悔しか 口「への字」

この句は写真を見て頂きやっとわかって頂きました。

Re: 俳句は難しいですね

コメントありがとうございます。
ちょっと忙しかったもので、気づくのが遅くなり、すみません。

夏井いつきさん、超売れっ子先生ですね。そうですよね、ちょこっと直してほおおー、みたいな。ああいう先生方は、俳句もたくさん作られるけど、添削もガンガン数をこなされるんだと思います。するともう、パッと見てパッとこうしたら、というのが出てくるんでしょうね。

平目の句は、私は写真と一緒に拝見したので、なーるほど、と思っていましたが、実物を見ていない方たちには、リアルには響いてこないのかもしれませんね。
私も見たものを、見たままに伝えたいときは、苦労します。
だって、俳句は短すぎるんですよ。詰めて、詰めて、相手に通じるようにするのは大変です。
まるで暗号です。(笑)
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お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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