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寒波

寒波


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本日のBGM/Sting - When We Dance


棒の如寒波の夜をひた歩く



吐く息の生き物めいて大寒波



大寒波星座緊りて揺るがざる



大寒波去らずシンクを洗い上げ



無生物の匂いしている大寒波



大寒波高層ビルの下急ぐ


今年の1月の寒波は凄かった。
まだ過去形にするのもなんだけれども、正月初っ端から、外出をするのを、毎日やっぱりやめよう、と挫けてとうとう三が日家にいた。

去年の1月にも寒波が来て、そのことはやはりブログに書いてあるが、短かった。
その長さが、今年はスケールが違っている。来る日も来る日も寒波、寒波。間にちょっと和らいだ日は、数えるほどだった。

先日仕事で夜、人に会わなくてはならず、帰りにタクシーを使った。

車が滑り出すや否や運転手が言う。「さーむいですねー!」
「ホントですね」
「いやー、でもまあ、私達が子供の頃なんかも、寒かったもんですよ。その辺凍ってたし、手は皸だらけだったし、痛くてねー! ああ、でもお客さんとは世代が違うから、分からないかもしれないなー」だって!

心の中で「ヤッター!」
見たところ運転手は多分同世代。
夜目遠目傘のうちとは言うけれど、夜間後部座席もそのうちかぁ。

「いーえ、私が小さい頃もそうでしたよ。皸もできましたよ。小学生の時なんか、服一杯重ね着してて、友達と、『今日、何枚着てるかー?
っていうのが、遊びみたいなもんでね。5枚とか、普通に着てましたよ。」

「お客さんいくつ」信号で止まって運転手がちょっと振り返る。
見なくていいから、夜目遠目夜間後部座席だよ、と思いつつ、昔のことを考える。

確かに昔も寒かった。
でも考えてみると、住宅事情が今よりずっと厳しかった。サッシなんてのは、まだまだそんなにお目にかからなかった。障子や、ガタガタいってるガラス戸の枠は木だったし、雨戸も木製。隙間風は普通だった。練炭火鉢や石油ストーブが主な暖房器具だ。

それにダウンコートなんてものは無いから、とにかく沢山重ねて着ていたなあ。玉葱みたいに。
人間側の生活水準ってものがそもそも違う。

「夏は猛暑、冬は大寒波、春と秋は年々短くなり、これでこの先一体、どうなっていくんでしょうねー」と私が言うと、「未来の心配なら、少子化の方が、心配ですよ!」と運転手。
「どんどん国民が減っちゃうんだからね、税金払うもんがどんどん少なくなって、年金なんかだって、成り立たなくなっちゃう」

そりゃ少子化だって、深刻だ。
でもねー、大自然の営みの人為的な力の全く及ばぬ恐ろしさには、適わないのではないだろうか。

この大寒波の原因は、太平洋赤道付近の海水の水温が平年より低い状態が続く、「ラニーニャ現象」だという。
水温が平年より高い状態が続くのが、「エルニーニョ現象」だ。
いずれにしても、これらの現象が起きた年は、気温が異常に高くなったり、低くなったりするようだが、「ラニーニャ現象」が起きると、偏西風が蛇行するため、夏は猛暑、渇水、冬は寒くなる、と言うのだから、これまた夏が思いやられる。
温室効果ガスとの関連も、諸説色々であるが、このまま温室効果ガスが増え続けると、こういう海水の異常現象の起きる頻度が高くなっていく、とも言われる。

知り合いの息子さん夫婦が、子供はもたない、と言っているそうだが、その理由の一つとして、「地球がこの先どうなるか分からないから」と言っているそうだ。

これを笑えるだろうか。

少子化の問題だって、原因は複数だろう。複数だから、すんなりと解決してゆかない。
またこういう社会現象は、個人の財布の紐と直結しているのではないだろうか。

少子化問題は、少子化以外の問題と深く関わっているのだと思う。

この社会で普通に生きていくには、まとまったお金が必要な項目が多すぎるのだ。
まず住居費の問題、賃貸では老後に貸してもらえなくなるから、どうにかしなくちゃと思う。
で、頑張って住居を購入するが、ローンと固定資産税で生活は締め付けられ、年月が経つと、ある時ドカンと雪崩のように、突然修繕費が発生する。さらに現在は売りたい時に売却が難しい問題も加わってきている。
老後の生活も、終身で安心できる施設に入るには、いったいいくらかかることやらー。

学費だって、どう考えても高すぎる。
大学なんて、途中からは、一体週に何時間勉強してるの、って程度で、なんであんなに大枚払わねばならないのだ。

こうした生活の中で、子供を産む選択肢を削る人が増えても、不思議はないし、もとより結婚せずにひとりで生きていった方が良いのでは、という考えも出てくるだろう。
今の若い人達は、何でもシュミレーションしてみるし、電化製品の購入ひとつだって、じっくりネットで口コミを研究してからなんだから、行動を起こす前にあれこれと綿密に考えるのではないか。
あるいは選択以前に、「できない」という場合だってある。

これは夢だけど、
もっと公営住宅が、便利な場所に段階的に色々あったりして、抽選なんかでなく普通に入れて、老後も安心して借りていられて、例えば同じ建物内に、いよいよ自力で生活できなくなった場合のためのケア付き老人ルームなんてものがあったり。
夢ですよ!そりゃ。 でももしそんなだったら、誰もが安心して子供を産む気になるだろうに。

金銭的な問題ではないのでは、と言う向きもあるかもしれない。
しかし金銭的な問題と精神的な問題だって分かれてはいない。
お金を稼ぐことだけでほとんど全ての時間がつぶれたら、精神的な充足感は無くなってしまう。

そこへもってきて、「地球の未来」という懸念まで加わる昨今の事情。

全てのことが、芋づる式に裏で繋がっているのではないだろうか。


運転手に、生まれた年を言うと
「なんだ、同い年じゃないか」。

そして珍しいことに、お金を払う時、半端をおまけしてくれた。

車から降りると、まるで冷蔵庫のチルド室ような、寒気だった。









誰かいるような気がして寒椿



地球の心配家庭の心配布団干す



手袋を脱ぐように自分を始める



冬薔薇の中に畳まれている時間



押し寄せる睡り一気に寒林に



冬服やどこからともなく年を取り



寒月にひとつの額向き合いぬ






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コメント

皆既月食

コメントありがとうございました。月食を観ながら「ひとつ俳句でも~ ひねって~」と拓郎張りに詠んでみようかと思いましたが、そこは素人の悲しさで、全く良い句が出来ず諦めました。

しかしながら、俳句は未だ諦めておらず、先日も10冊以上の俳句の本を図書館より借りてきて読んでおります。「俳句の上達の秘訣は続けることだ」と書いてある本もありますので、まあ、残り少ない人生ですが精一杯やってみようと思います。

昔の住宅事情を書かれてますが、雨戸も窓も木製でしたね。隙間風ビュウビュウでした。石油ストーブ、練炭こたつ、懐かしいですね。実は私は55歳までハウスメーカーに勤務してまして、悲しい事故に会いました。
20年以上前の話ですが、新築して頂き年末に引き渡しが済んだお宅で、正月に事故がありました。ご老人が自室で建て替え前と同様、練炭で暖をとられた為、中毒死と云う悲しい結果となりました。息子さんが新築した家に同居はしたものの、昔の習慣で練炭を使ってしまったようです。

ネコヤナギさんの書かれていますように、現代の若者は将来の見通しが立たたず、結婚、出産に踏み切れない方も多いと思います。我が家でも長男は結婚しましたが、まだ子供はおりません。ほんとに難しい時代になりましたね。残りの二人は、自力で生活が出来ずまだ家を出る事が出来ません。

Re: 皆既月食

拓郎懐かしいです!兄の影響で、中学生だったのですが、よく聞いてました。
「今日までそして明日から・祭りのあと・夏休み」なんかが好きでした。拓郎もあの頃が一番良かったんではないでしょうか。

昔は何せ、紙の障子に木の雨戸ですからねー。今思えば良く住んでたと思います。子供がいれば必ず障子は破れてましたしね。(笑)
そのお年寄りの方の事件は、大変残念でしたね。そういう面では、昔は密閉しようにも無理だったので、却って安全だったのかもしれませんね。アレルギーなんかも、あまり聞きませんでした。今は大変な人口ですから。

うちの息子も「結婚はしたくない」なんか言っております。
まあ、まだ若いので、いずれ気が変わることもあるかとは思いますが、何せうちの場合は、親があまりいいお手本になれませんでしたので、大きいことは言えないのが辛いところです。(笑)
いずれにしましても、就労状況や家庭を構えてかかっていくお金や、保育の受け皿や、様々な問題のバランスがとれていませんよね。大変な時代だと思います。
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お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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