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山茶花

山茶花

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今日の1曲/Yoshiko Kishino - Photograph



山茶花の舞踏の如く咲けば散り



山茶花の転生せわしき月夜かな



過ぎてより気づく山茶花華やぎぬ

何故過ぎてから気が付くのか。

何かとせわしなくなってくる時期だからなのである。

山茶花は玄関前にあるのだが、あと10分で時間切れになる郵便局に振り込みに行くなどと、鉄砲玉のようにすっ飛んで出てゆくものだから、若干通り過ぎてから気が付く、なんて羽目になる。
目の横になにかワーッと華やかな色が溢れていて、ふと振り向くと、昨日は1,2輪だった山茶花が、沢山咲いているではないか!

女達がせわしくなってくる頃に、せわしく咲いたり散ったり、咲いたり散ったりする花。
もう一年が終わりに近づいているのだから、切りも無い雑用に、ことさらに拍車がかかるというものだ。

主婦の自由時間は細切れで、バラバラと一日の中に点在している。

それを掻き集めなければ、新たな仕事のための勉強なんぞできはしない。
その細切れ時間を集める方法を、日々色々と工夫しているのだ。

少年でさえ、老いやすく学成り難しと言うのだから、還暦寸前の主婦なんぞ、一体どうしたものだろう。

昨今の女性雑誌の見出しの、キーワードは「時短」。
「時短の料理」「時短の掃除方法」「時短のお化粧方法」などなど、現代の女性の忙しさは比類ない。
こんなにも便利な電化製品に囲まれつつも、それでもまだ時間の足りない女達。

それでは昔の女性はどうだったのか。
これがやっぱり、忙しかったのだと思うのだ。

私の家は父が早くに亡くなり、母が仕事を持っていたので、祖母が母親代わりだった。
しかし、自分が本当に小さな頃だったと思うのだが、祖母が盥で洗濯板を使って、手洗いで家族全員の洗濯ものを洗っていたのを、覚えているのだ。
祖父のワイシャツも、三人の孫の下着も、ブラウスも、靴下も、ハンカチも!

ウーン、これは考えただけでもげっそりしてしまう。
その他に、食事の支度に、洗い物に・・・・。私には、とても無理だ。
しかも、もう若くない、体力が乏しくなって来た頃に、このヘビーな毎日の労働。

ほどなくして祖父が洗濯機を買ってくれたのだが、その時の祖母の喜びは、一体どれほどのものだったことだろう。

祖母には齢の近い姉妹が2人いて、さして遠くない場所に住んでいたから、よくその2人が遊びに来たが、姉妹でお揃いの着物を着てくる事が多かった。
祖母はいつでも、普段着の上に、割烹着。割烹着がトレードマークだった。
その齢になっても、祖母には朝から晩までやることがあったから、とても他の姉妹のように、着物なんぞ着るゆとりはなかったのだろう。

そして、絵が上手だった。昔話になると、画家に弟子入りしたかったのだが、許してもらえなかったとか、そんな話が必ず出てきた。
それから、俳句が好きだった。
考えてみると、そのDNAを隔世遺伝で、この私がそのまんま受け継いでいるのだった。

しかし祖母には、その素質を伸ばす時間など、存在しなかったのだ。
もっと後になって、やっと時間は出来たけれども、もう気力の方が、ついていかなかったようだ。

それを思えば、自分はこれだけ忙しくても、俳句のブログなんかやっていて、絵はもう描かないけれど、デザインの仕事もボチボチしていて、祖母のやれなかったことをやっているではないか。

今でも思い出す。

冬になると、小学校の放課後、下校時間ぎりぎりまで友達と遊んでいて、家に帰る間にもうとっぷりと日は暮れてしまう。

「ただいまー」といって玄関に入ろうとするとき、必ず見上げた夕空が、深い深い群青色だった。
だから、私の中で、今でも冬のイメージは群青色だ。

そして、家に入ると、座卓の横の練炭火鉢で煙管を吸いながら、テレビで相撲を見ている祖母の、「わーっ」とか「あーっ」とか「それーっ」とかとかいう掛け声が聞こえてくる。
これから6人分の夕食を作らなくてはならないその労働の前の、一休み。
好きだったのだろう、テレビの相撲中継に夢中になるのが、祖母の唯一の娯楽の様なものだったのかもしれない。

あの群青色の夕空の色と、相撲の行司の間延びしたような声、それからテレビの中の観客のどよめきが、私の中でセットになっていて、「冬」の空気の匂いを感じると、どこからともなく、ふっと浮かび上がってくるのである。




冬林檎ひとつ計画温めぬ



猫の目のような寒月見て帰る



冬薔薇に少し後悔してをりぬ



木枯らしや湯舟に重力失へり



情熱の冷たき背中シクラメン



東京に人は犇めく神の留守

神の留守・神無月とは旧暦10月のこと。11月は「霜月」。
以前の句だが、今回足りない感じなので付けたし。
しかし旧暦なので、2017年に置き換えると、11月18日から12月17日のことだそう。雰囲気的には、今頃の感じなんでしょうね。でもやっぱり、11月は「霜月」と、頭の中に先入観があるし。ま、ややこしいからその辺はアバウトに。

鳥一羽空に底なし神無月











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コメント

No title

<空に底なし>
この言葉にグッときて空を見上げる。
暗闇の中でかすかに風が揺れる気配がした。

Re: No title

コメントありがとうございます。
バタバタしていて、どうも気が付くのが遅れ遅れでスミマセン。

神無月の空のイメージなんです。
春や夏の空は、もっと低くて、「浅い」ような気がします。
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お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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