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萩の花・秋アラモード3

萩の花


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萩咲いてひそと貌ある月の裏



揺れやまぬ水銀灯に萩の影



萩垂れて大地冷たく固まりぬ



萩咲いて髪解くように過去のこと



すんなりと眠りへ落ちて萩の花











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久しぶりに行った馴染みの店で、久しぶりに若い時の仲間の一人に会った。

会うなり彼が言った。
「俺、癌でさ。余命1年って言われてるんだ」「えーっ、嘘でしょ」
「本当だよ」 「胃癌なんだけど、他にもいろいろ転移しててさ」
まるで誰か他の人のことのように、普通に言う。

こんな時、一体なんて言ったらいいんだ。
私は全速力で言葉のストックを参照するが、これというものがない。咄嗟に言う。

「こんなことしてていいの?」「いいんだよ。どうせあと1年しか生きられないなら、好きにやるさ。酒飲んで」

心の下層部で私が言う。 (そうだ、その通りだ)
しかし上層部の私は考える。 (そんなこと言えない)
だからといって、お大事になんて言って、通用する手合いではない。

「駄目だよ、養生しなきゃ」 そうだ、養生、この人にはこの言葉がやけにしっくりする。

友人の中でも、破天荒なひとで、それはいい年になっても治らず、奥さんがいるのに、女の人を作って、子供まで作って、尚且つその人とも別れ、尚且つまた違う女の人とくっついて・・・。

だもんで、友人同士が集まれば、説教されるわ、なんだわ、ここのマスターにも、ボロクソ怒られどうしなのに、全然反省している様子はない。

よっぽどいい男かって? 全然そんなことはないんだけど。(失礼)

でも、何かわかるんだ。
この人の中には、誰でもスッとスムーズに入れる場所がある。

たぶんそれは、男でも女でも同じで、その時彼の前にいる人間が、ちょうど一人入れるくらいのスペースが、いつも用意されている。
普通人は、扉だの窓だの鍵だの階段だの、色々とくっついていて、順々に手はずを整えなければ、なかなかその内部に入れないものなのだが、彼の場合は何と言うべきか、もう終日バリア・フリーなのだ。

でもバリア・フリーもいいけど、後がね。大人になるってことは、後のことも大事にするってことなんだから。


「元気?」
聞かれて私は困った。「全然」
「なんでだよ」
「なんで元気ないんだよ」

ほらね。バリア・フリー。

「いいでしょ、なんだって。皆、いろいろあるんだよ」
上層部の私が言う。
そして下層部の私が言う。(こんな時に、ひとの元気の無いの心配する?)

彼が言う。「そうだよなあ、いろいろあるよなあ、死んじまう奴だっているんだからな」

The Band の「 Weigt 」がかかる。昔、皆でさんざん聞いた曲だ。これ聞いてると、いつの間にか合唱になってしまったっけ。歌声喫茶じゃあるまし。

時間は経っているのだろうか。
時間は全然経っていないか、それとも経ち過ぎているかの、どちらかなのにちがいない。

いつだったか、数年前に会った時、「おー、すっかりいいおばさんになって、外で会ったらわからないな」
なんてずけずけ言われて、思わず「まーっ、どっちがよ!そりゃあんたでしょ!」なんて応酬した。

ずけずけした人と話すと、こっちもずけずけした姉御みたいになってきて、なんだかそういう自分が面白くって、もしかしてホントの自分ってこういう姉御肌だったのかも?なんて埒も無いことを考えさせるような奴。

今日のところは最後まで姉御肌で行くっきゃない。

どんな言葉も用意できなかった。
どんな言葉だって、空回りしてしまう。
言葉に束ねることのできないものだって沢山ある。

そろそろ帰宅せねばならない時間だった。
私は立ち上がって、彼の方へ、まるで命令でもするように、言った。
見つからなかった言葉を入れた空の封筒に貼った、切手のような言葉。


「ちゃんと 養生しなさいよーっ!」

「おー!」










秋アラモード3



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秋の灯や考えることやめてみる



同じ道ばかり歩いて秋曇り



爽やかや知らぬ人のみすれ違う



ストラヴィンスキー走り抜け無月かな



林檎食べ静かな午後のような味



秋晴れに昔の家と祖父と祖母



後悔に幽かな羽根ある秋の虹



秋の雲短編小説すぐ終わる



駈け出せばまだ間に合うか鰯雲



これからは自分を愛す秋の暮



思春期のような還暦青蜜柑












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お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
60代突入・主婦時々グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・ガーデニング・音楽・デザイン。

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