8月 炎天の蝉(2016)

白木槿手紙くるように咲き始む



身の内の水嵩上がる白木槿

白木槿というのは、私にとっては特別な花のようだ。
何か重い問題があって鬱々としている時には、その白さは一つの引力ででもあるかのように、私を惹きつけ、私に寄り添う。
でも、平穏な日常があるばかりの時は、それはこざっぱりと清潔なたたずまいを控えめに見せているだけである。


まず髪が夏木立となり睡り来る



家族というぬかるみもあり夕焼けぬ



炎昼に堂々巡りで生きている




20167b.jpg




夏の月母に白髪を抜かせをり

母の白髪を抜くのではない。
母に白髪を抜いてもらっているのである。
こんな日が来るとは。
思い切り抜いていいよと言っているのに、躊躇しているところが、やっぱり母というものなのだろう。
八十五歳の母の小さく繊細な指が髪に触れた途端、私ははるかな昔の幼稚園の頃の自分を、ありありと思い出していた。
毎朝、幼稚園に通う私の肩まであった髪の両サイドを、細い三つ編みに編むのが、母の日課だった。
祖母の代からの、分解してしまいそうな古い木の鏡台の前で、朝に弱かった私は、きっとふくれ面をしていたに違いない。

昏き炎天蝉の声の奈落まで


右も左もにっちもさっちもいかない。
人間関係というのはどうにもこんがらかる。
蝉は地上に出てから、一週間しか、生きられないという。
それなのにどうだ、その運命に文句のひとつも言わず、精一杯に、ただひたすらに、鳴いている。
あれを聞くと、何かが吹っ飛ぶ。
自意識のようなものが吹っ飛んで、一挙に、子供のころの、夏休みの長い長い一日の、
無我夢中になっているようでいて、何も考えていない、一種の忘我常態。その頃にタイムスリップする。
蝉の声を全身にいやというほど浴びていた、あの頃。




20167c.jpg


ランキング始めました。
応援お願いします。

にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ
にほんブログ村



ボニー・レイット(Bonnie Raitt)
は1949年生まれのアメリカのロック・ギタリスト、シンガー。
女性のスライド・ギターの名手として知られているが、歌も素晴らしい。 何と言っても、今年68歳で現役バリバリなんだから、その元気を分けてもらいたい。

Draw of Luck(1991)彼女が42歳のころの11番目のスタジオ・アルバムより 「I Can't Make You Love Me」










スポンサーサイト

お知らせ

いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。 また、当ブログ内に埋め込んでいた音楽配信動画のうち、違法にアップされたものは削除いたしましたが、公認されているものも色々ありましたので、再度少しづつ載せていきたいと思います。ジャズ・ロック・クラッシック、ジャンルは問いませんが、心に沁みるアコースティックなものをコラボ。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR