3月 一本の春風(2016)

ゆふやけのてのひらひとひら春に置く



沈丁香前ゆくひとは門に消え



これは春風いっぽんの虹の通路



いつまでも迷っていたら雪柳



春月やマニキュア少し剥落す



空と街一糸乱れず水たまり





20163e.jpg





雨が上がったばかりの公園の横を通った。
まだ陽は差していない。
何かただならぬ気配を感じてふと横を向くと、公園の半分くらいは大きな水たまりの一群になっているのだった。
風が全く無かったので、びくとも動かぬ静謐な水面が並び、まるで大きな鏡が幾つも敷かれたような有様になっている!
空の色も寸分たがわずに、家並みもそっくりそのままに、まるで逆さの街がもうひとつ突如出現したかのようだ。

その静かな水面には、どんな解釈も、どんな演出も、どんな装飾も施されてはいない。
ただ、早春の空と街を、鏡のような無垢に映し込んでいるだけだ。

私はこんなに美しいものを見たのは、久しぶりだと思った。
公園の隅には、雪柳がほころびはじめていた。





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いつもご訪問頂きありがとうございます。 「俳句とエッセイ時々音楽」のブログ名を、「A Cup of俳句」に改名させていただきます。宜しくお願いいたします。

プロフィール

ネコヤナギ

Author:ネコヤナギ
俳句は一行詩。コンパクトな宇宙です。それと日々出会う物・事を気ままに綴り、ジャンルにこだわらない音楽のことも少し。俳句は1994年から書き溜めていたものを2017年1月から遡ってまとめました。
50代後半、双子座・A型・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。
趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。最近ホロスコープの奈落に足を突っ込んでいます。

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