2007/10/30
9、10月蟋蟀 (2007)
蟋蟀のふと鳴きて涼しさに気づく夜、やり残した家事をしていると、小窓からいきなり、りりりり、と蟋蟀の声がひと鳴き聞こえた。
その途端、いつもより今日は涼しくなっていることに気づいた。 あまりに暑い毎日に食傷し、機械的に家事をするばかりの日々で感覚が麻痺し、いくらか涼しくなっていることにさえ気づかなかった。
蟋蟀の声が、至近距離で、ひと鳴き。それで一挙に涼しさに気付いたのだ。
蟋蟀に混じる靴音角曲り虫鳴けば闇の一角目覚めをり
天の声地にこぼれ落つちちろ虫
蜘蛛走る壁の広さよ秋の夜

秋晴れて建物たやすく解体す
木犀香十五の我を通過する
青空にひとつ柿の色割り込む
答えなきことばかりなり秋夕焼け
ひとつづつ物片付けていて秋の雨
真夜中に宮殿の如百合開く

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